最近の介護事業の状況(参考)
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「やりがい搾取」はもう限界!介護職員の給与問題と私たちが直面する未来とは?
物価高騰のなかで浮き彫りになる介護現場のリアルな苦境と、介護報酬の仕組み、そして地域社会を守るために私たちが知っておくべき真実をやさしく徹底解説します。
「お年寄りの笑顔が見たいから」「誰かの役に立つ尊い仕事だから」――そんな職員たちの優しい気持ちや使命感だけに頼り切る時代は、すでに限界を迎えています。現在、日本の介護現場では「やりがい搾取に頼るのは職員たちにも限界がある」という専門家の厳しい指摘が相次いでいます。
食料品や水道光熱費など、あらゆるモノの値段が上がり続ける物価高の現在、多くの一般企業ではベースアップ(基本給の引き上げ)や賃上げが進んでいます。しかし、高齢者やそのご家族の暮らしを最前線で支えている介護職員の給与は、他の業種と比較して相対的に低い状態が続いているのが現実です。その結果、「今の仕事を続けていても生活が成り立たない」と感じ、慣れ親しんだ介護の職場を離れて他業種へ転職を考える人が後を絶ちません。
この記事では、介護現場で働く方々のリアルな声や事業所の苦悩、なぜ介護業界の給料は簡単に上がらないのかという制度上の仕組み、そしてこの問題がなぜ「私たち自身の未来の課題」に直結するのかを、専門用語を噛み砕きながら詳しく、わかりやすく紐解いていきます。
- なぜ介護職員は「働き続けても生活が安定しない」と悩んでいるのでしょうか?
- なぜ介護の仕事が好きなベテラン職員まで他業種へ転職してしまうのでしょうか?
- なぜ介護事業者は物価高に合わせて職員の給料を自由に上げられないのでしょうか?
- 介護職員の給料は他の産業と比べて具体的にどれくらい低いのでしょうか?
- 今後、高齢者が増え続けるなかで介護職員はどれくらい不足するのでしょうか?
- 専門家が警告する「やりがい搾取の限界」が招く社会全体の危機とは何でしょうか?
- 私たちが暮らす地域の介護を守り、安心できる未来をつくるにはどうすればよいのでしょうか?
❓ 1. なぜ介護職員は「働き続けても生活が安定しない」と悩んでいるのでしょうか?
💡 答え:わずかな昇給よりも「社会保険料の負担増」や「物価高騰」のスピードが上回り、実質的な手取り収入が減って生活が圧迫されているからです。
介護の現場で働く方々がどれほど厳しい家計状況に置かれているのか、実際の事例をもとに詳しく見ていきましょう。都市部の特別養護老人ホーム(常に手厚い介護が必要な高齢者が生活する施設)で正規職員として働く40代の女性のケースは、現在の介護業界が抱える構造的な問題を象徴しています。
この女性は現在の職場に勤めて2年以上が経過し、日々、身体的な介助や認知症ケアなど、高い専門性と強い責任感が求められる業務に邁進しています。職場での勤続年数に応じて、昨年から今年にかけて基本給や手当が月に約1,100円増えました。数字の上では確かに「昇給」しています。
ところが、シフトの都合で夜勤の回数がわずかに変動して夜勤手当が減ったことに加え、健康保険や厚生年金などの「社会保険料」が引き上げられたことなどが重なりました。その結果、ある月の手取り収入(税金や保険料が引かれた後に実際に銀行口座に振り込まれる金額)はおよそ18万5,000円となり、なんと前年の同じ月よりも少なくなってしまったのです。
- 📈 勤続による昇給額: 月額 およそプラス1,100円
- 📉 マイナス要因: 社会保険料の引き上げ + 夜勤手当の変動 + 激しい物価高騰
- 💰 実際の手取り収入: 月額 およそ18万5,000円(前年同月より減少)
- 🏠 家族構成と暮らし: 要介護状態にある70代の母親と2人暮らし(ヤング・ビジネスケアラー状態)
- 🛒 生活防衛策: 賞味期限間近の見切り品を購入、趣味の音楽ライブを我慢、週2回の夜勤で補填
さらに深刻なのは、この女性自身が家庭でも介護を担う「ダブルケア(仕事での介護と家庭での親の介護の二重負担)」の当事者であるという点です。女性は現在、介護が必要な70代の母親と2人で暮らしています。母親が受け取る年金と自分の手取り収入を合わせても、ここ数年の急激な物価上昇(電気代、ガス代、食料品などの値上げ)には到底追いつかず、日々の暮らしは月を追うごとに苦しくなっています。
生活を維持するため、スーパーマーケットでは定価の商品を避け、賞味期限が近づいて割引シールが貼られた食料品を優先して買うようになりました。また、仕事のストレスを発散し、心の健康を保つために大切にしていた趣味の音楽ライブへ行く回数も減らさざるを得なくなっています。
少しでも毎月の手取り収入を増やすには、1回あたり数千円の手当がつく「夜勤」に多く入るしかありません。そのため、女性は1週間のうちに2日も夜勤に入る週を作るなどして懸命に働いています。介護施設における夜勤とは、夕方から翌朝までの16時間近くにわたり、少ない職員数で何十人もの利用者の排泄介助や体位交換(床ずれを防ぐために寝ている向きを変えること)、夜間の見守りや緊急対応を行う、極めて過酷な業務です。
40代という年齢的な体力の変化に加え、自宅に戻れば70代の母親の介護が待っています。「これ以上、夜勤の回数を増やすことは肉体的にも精神的にも現実的ではない」と女性は語ります。現在、女性は国家資格である「介護福祉士」の受験資格を得られる実務経験3年の節目までは今の職場で頑張り続ける予定ですが、資格取得後は、介護以外の他業種も含めて、より待遇が良く生活が安定する職場への転職を真剣に検討しています。
🔹 特別養護老人ホーム(特養):自宅での生活が難しくなった、主に「要介護3以上」の比較的重い介護が必要な高齢者が入所する公的な介護施設です。24時間365日体制で食事や入浴、排泄などの介助が行われるため、職員には夜勤を含むハードなシフト勤務が求められます。
🔹 介護福祉士(かいごふくしし):介護分野における唯一の「国家資格」です。資格がない状態から現場で働き始めた場合、3年以上の実務経験と所定の研修を終えることで国家試験の受験資格が得られます。資格を取ると「資格手当」がつく職場が多いものの、それでも他業種の平均賃金には届かないケースが目立ちます。
この女性は、胸の内を次のように明かしています。利用者様やご家族から「いつもありがとう」と感謝の言葉をかけられると、心からやりがいを感じる瞬間があり、日本全体が超高齢社会へ進むなかで介護職は社会にとって絶対になくてはならない仕事だと誇りを持っています。しかし同時に、「政府やニュースで言われているような賃上げの実感はまったくない」「人の命と尊厳を預かる重い責任に見合った給料ではない」と痛感しているのです。「この給料なら安心して将来を描ける、もっと頑張れる」と思える水準にならない限り、現場から人が去っていく流れを止めることはできません。
❓ 2. なぜ介護の仕事が好きなベテラン職員まで他業種へ転職してしまうのでしょうか?
💡 答え:介護の仕事自体が嫌いになったわけではなく、結婚や出産、住宅購入などの「人生の節目(ライフステージの変化)」において、現在の給与水準では家族を養い将来設計を描くことが難しいからです。
今、介護業界で最も深刻視されているのが、介護施設から別の介護施設への転職ではなく、「介護業界からまったく別の一般企業(メーカー、事務、物流、IT、飲食・小売など)へ人材が流出していること」です。しかも、入ってすぐの新人だけでなく、現場を支えてきた中堅・ベテラン層が次々と業界を去っています。
東京都内の特別養護老人ホームでも、およそ6年間にわたって勤務し、現場のリーダー的な役割を担っていた中堅職員が、一般のメーカー企業へ転職していきました。6年といえば、介護の技術も知識も十分に熟練し、後輩の指導やご家族との連絡調整、ケアの改善などを牽引する、施設にとってまさに「要(かなめ)」と呼べる存在です。
退職を申し出たその職員は、施設側に対して「介護の仕事が嫌になったわけではありません。ただ、結婚を機にこれからの将来の生活や家庭のことを真剣に考えた結果、仕事を見直すことにしました」と伝えたといいます。この言葉には、介護業界が抱える非常に切実な現実が凝縮されています。
・3年に1度の介護報酬改定に左右され、毎年の大幅なベースアップが見込みにくい。
・役職やリーダー業務が増えても、責任の重さに対して役職手当の上昇幅が小さい。
・夜勤や土日祝日の出勤が前提となりやすく、子育てや家族との時間を両立しにくい。
・物価高や人手不足を反映し、毎年春闘などで定期的な賃上げ・賞与アップが行われやすい。
・土日祝日休みや日勤のみの働き方が選びやすく、結婚後の生活リズムを整えやすい。
・介護現場で培った高いコミュニケーション力や忍耐力が、営業や顧客対応で高く評価される。
東京のような都市部、たとえば私たちが日々活動する渋谷区や中野区、杉並区といったエリアでは、住宅の家賃やマンション価格、日用品の物価も全国平均より高い水準にあります。独身の頃は何とかやりくりできていた給与であっても、「結婚して家庭を持つ」「子どもを育てる」「老後の資金を蓄える」という段階に入ると、急に計算が合わなくなるのです。
介護現場で6年間リーダーを務められるような優秀な人材は、周囲への気配り、問題解決能力、クレームや緊急事態への対応力など、どの業界に行っても通用する極めて高いビジネススキルを持っています。他業種の企業が人手不足を解消するために初任給や中途採用の賃金を大きく引き上げている現在、「同じだけ一生懸命働くなら、より給与が高く、休日も安定している他業種へ移ろう」と考えるのは、個人の生活防衛としてごく自然な判断と言えます。
❓ 3. なぜ介護事業者は物価高に合わせて職員の給料を自由に上げられないのでしょうか?
💡 答え:介護サービスの売上である「介護報酬」は国が決める公定価格であり、一般企業のようにコスト増加分をサービス料金に値上げして転嫁することが法律上できないからです。
「大切な職員が辞めてしまうなら、施設側が思い切って給料を上げればいいのではないか?」と疑問に思われる方も多いかもしれません。しかし、そこには介護事業特有の「公定価格(こうていかかく)」という逃れられない壁が存在します。
たとえば、街のレストランやパン屋さん、あるいはメーカー企業であれば、小麦粉や電気代、人件費が上がった場合、苦渋の決断として商品の価格を「800円から950円に値上げする」ことができます。増えた売上の中から、上がった光熱費を支払い、従業員の給料を引き上げることが可能です。
しかし、介護保険制度のもとで運営される介護事業所(特別養護老人ホーム、デイサービス、訪問介護など)は、提供するサービス1回あたりの料金が、国によって1単位(約10円〜11円前後、地域により異なる)単位で厳密に決められています。これを「介護報酬」と呼びます。どれほど電気代やガス代、ガソリン代が高騰しても、事業者が勝手に「来月から入浴介助の料金を2割値上げします」と決めることは一切許されていません。
🏪 【一般企業の場合】
物価高で経費が増加 ➡ 商品やサービスの価格に転嫁(値上げ) ➡ 売上を増やして従業員の給料をアップできる!
🏥 【介護事業所の場合】
物価高で水道光熱費・給食費・委託費が激増 ➡ しかし収入(介護報酬)は国が固定していて値上げ不可 ➡ 経費を引くと手元にお金が残らず、職員の給料を上げたくても原資がない!
現場の施設長たちからは、「どれほど職員と一丸になって現場で頑張っても、介護報酬として入ってくる上限額は決まっており、自助努力だけではどうしようもない状況だ」という悲痛な声が上がっています。
介護施設を運営するためには、人件費以外にも膨大な固定費がかかります。利用者様が24時間快適に過ごすためのエアコンの電気代、毎日のお風呂や洗濯に使う水道代・ガス代、送迎車を走らせるガソリン代、おむつや医療用衛生用品の購入費、さらには清掃やリネン(シーツやタオルの洗濯)、給食調理などを依頼している外部の委託業者への支払いです。委託業者側は一般企業ですから、物価高や最低賃金の上昇に伴って「委託料金の値上げ」を求めてきます。介護施設は、収入が増えないなかで、周囲への支払いばかりが増え続けるという板挟み状態に陥っているのです。
さらに問題を複雑にしているのが、この「介護報酬」の見直し(改定)が原則として3年に1度しか行われないというルールです。2024年度の定期改定では全体でプラス1.59%(過去2番目に高い水準)の改定が行われ、さらに物価高を背景とした臨時的な措置として、職員の処遇改善のための加算(プラス1.95%相当)なども実施されてきました。
しかし、現在のインフレ(物価上昇)と他産業の賃上げは「毎年」急ピッチで進んでいます。3年に1度の小幅なプラス改定や臨時加算だけでは、高騰し続ける光熱費や物価の波に飲み込まれてしまい、現場の職員が「お給料が増えて生活が楽になった」と実感できるレベルには到底届いていないのです。
❓ 4. 介護職員の給料は他の産業と比べて具体的にどれくらい低いのでしょうか?
💡 答え:厚生労働省の統計データによると、ボーナスを含めた月収換算で全産業の平均よりも「月に8万2,000円(年間で約100万円近く)」も低い状態が続いています。
感覚的な話だけでなく、国が発表している客観的な統計データからも、介護職員の給与がいかに他産業から引き離されているかがはっきりと確認できます。厚生労働省が実施している「賃金構造基本統計調査」の結果を見てみましょう。
賞与(ボーナス)を含めた1か月あたりの平均給与を比較すると、日本のすべての産業の平均が「月39万6,000円」であるのに対し、介護職員の平均は「月31万4,000円」にとどまっています。その差は、なんと月額にして8万2,000円にも及びます。
(1年間で計算すると 約98万4,000円 もの大きな収入差になります)
ここで注意しておきたいのは、「月31万4,000円」という数字は、1年間に支給されたボーナスを12か月で割って毎月の給料に上乗せした「額面(税金や保険料が引かれる前の金額)」の平均値だという点です。ボーナスが少ない、あるいは支給されない事業所や、夜勤のない日勤のみの職場、経験年数が浅い職員の場合、毎月の額面給与は20万円台前半、手取りにすれば第1章の女性のように18万円前後になることが決して珍しくありません。
もちろん、国もこれまで何も対策をしてこなかったわけではありません。「介護職員処遇改善加算(かいごしょくいんしょぐうかいぜんかさん)」という特別な仕組みを作り、介護職員の給与を直接引き上げるための予算を投入してきました。その効果もあり、過去10年間で介護職員の平均給与は5万円あまり上昇し、着実に改善はしてきています。
しかし、ここ2〜3年で日本経済の潮目が大きく変わりました。長らく続いたデフレ(物価が下がり賃金も上がらない時代)からインフレ(物価が上がり賃金も上がる時代)へと急転換したのです。大企業を中心に5%を超えるような歴史的な高水準の賃上げが相次ぐなか、介護業界の賃上げスピードが完全に置いていかれてしまったため、結果として「約8万2,000円」という大きな格差が再びクローズアップされる事態となっています。
介護職員のお給料を上げる目的で、通常の介護報酬に上乗せして事業所に支給されるお金のことです。事業所が受け取ったこの加算分は、原則としてすべて介護職員の給与やボーナス、手当として還元しなければならないと厳しく義務付けられています。しかし、この加算を満額受け取るためには複雑な計画書や報告書の提出、職場環境の整備などが必要であり、事務作業の負担が大きいことも現場の課題となっています。
❓ 5. 今後、高齢者が増え続けるなかで介護職員はどれくらい不足するのでしょうか?
💡 答え:要介護認定を受ける高齢者は制度開始時の3倍以上(約735万人)に急増している一方、介護職員は現在でも20万人以上不足しており、2040年度には「272万人」もの職員が必要になると推計されています。
介護職員が他業種へ流出しているという問題は、単なる「ひとつの業界の人手不足」では済みません。なぜなら、介護を必要とする高齢者の数が、今この瞬間も猛烈なスピードで増え続けているからです。
日本で公的な介護保険制度がスタートしたのは2000年4月のことでした。そこから四半世紀が経過し、現在、要介護または要支援と認定された高齢者の数はおよそ735万人に達しています。これは、制度が始まった2000年当時の3倍以上という驚異的な増加ぶりです。
では、この735万人もの高齢者を支える介護職員の数は足りているのでしょうか。国の試算によると、現在必要な介護職員の数は全国で「およそ240万人」とされています。しかし、最新の統計として把握されている2024年度時点での介護職員の実数は212万6,227人にとどまっており、すでに計算上でも20万人以上が不足している状態です。さらに近年の統計では、介護保険制度が始まって以来初めて、介護職員の総数が前年よりも減少に転じたことが大きな衝撃を与えました。
- 🔹 2000年4月(介護保険制度スタート時):
要介護(要支援)認定者は約218万人。ここから日本の社会全体で高齢者を支える仕組みが始まりました。 - 🔹 現在(直近データ):
要介護(要支援)認定者は約735万人(開始時の3倍以上)に急増。必要な介護職員数「約240万人」に対し、実数は「約212.6万人」と大きく不足。 - 🔹 2040年度(高齢者人口のピーク期):
医療と介護の両方が必要な「85歳以上」の人口が激増。全国で「272万人」もの介護職員が必要になると推計されています。
これから日本が向かう2040年にかけては、単に高齢者の数が多いだけでなく、認知症の発症率や骨折・病気のリスクが急격に高まる「85歳以上の超高齢者層」が大幅に増えていきます。つまり、これまで以上に医療との連携や手厚い介護が必要な方が増えるため、2040年度にはなんと272万人もの介護職員を確保しなければならないのです。
しかし、ここで国の頭を悩ませているのが「財源(お金の出どころ)をどう確保するか」というジレンマです。私たちが利用する介護保険サービスの財源は、サービスを受けた本人が支払う自己負担分(原則1割、所得により2〜3割)を除いた残りの部分が、以下の2つで半分ずつ賄われています。
① 公費(税金)= 全体の50%
国が25%、都道府県が12.5%、市区町村(渋谷区・中野区・杉並区などの自治体)が12.5%を税金から負担しています。
② 介護保険料 = 全体の50%
40歳から64歳までの現役世代(第2号被保険者)と、65歳以上の高齢者(第1号被保険者)が毎月納める介護保険料で支えています。
少子化によって、制度を支える側である「40歳以上の現役世代」の人口はこれから減り続けていきます。もし介護職員の給料を大幅に上げるために介護報酬を引き上げれば、それに連動して現役世代や高齢者が毎月支払う「介護保険料」や「税金」、そしてサービス利用時の「自己負担額」も増えることになります。支え手が減るなかで、いかにして介護職員の処遇改善(賃上げ)と財源確保を両立させるか――現在、厚生労働省の審議会(社会保障審議会介護給付費分科会)でも、次期改定や年末の方針取りまとめに向けた激しい議論が交わされています。
❓ 6. 専門家が警告する「やりがい搾取の限界」が招く社会全体の危機とは何でしょうか?
💡 答え:介護施設やデイサービスが人手不足で閉鎖・縮小に追い込まれると、行き場を失った高齢者を家族が自宅で介護せざるを得なくなり、「介護離職」が激増して日本全体の経済力が落ち込むという危機です。
介護現場の実態や社会保障制度に詳しい淑徳大学の結城康博教授をはじめとする多くの専門家は、現在の状況を「他産業以上に物価高に追いついていない賃金体系であり、やりがい搾取に頼るのは職員たちにも限界がある」と強く警鐘を鳴らしています。
ここで使われている「やりがい搾取(やりがいさくしゅ)」という言葉の意味を、改めて考えてみましょう。これは、働く人が持っている「お年寄りを笑顔にしたい」「困っているご家族を助けたい」という純粋な善意や責任感につけ込んで、本来支払われるべき正当な報酬(賃金)を支払わないまま、重い労働や我慢を強いる構造のことを指します。
もしこのまま、「介護の仕事をするよりも、他の産業に就職した方がまともな生活が成り立つ」という状況が放置され続ければ、どうなるでしょうか。現場の施設長や専門家が共通して指摘するのは、「これは介護業界だけの問題ではなく、最終的には国民一人ひとり、あなた自身の問題として跳ね返ってくる」という厳しい現実です。
1️⃣ 介護職員の他業種流出が止まらない
物価高に耐えかねた経験豊富な介護職員が、一般企業へ次々と転職してしまいます。
2️⃣ 地域の介護施設・デイサービスの受け入れ停止や倒産
「ベッドや部屋は空いているのに、介護する職員がいないため入所・利用をお断りする」という施設が続出します。地方や中山間地だけでなく、都市部でもサービス難民が発生します。
3️⃣ 家族による自宅介護の限界と「介護離職」の急増
親を預けられる施設やデイサービスが見つからないため、会社でバリバリ働いている40代〜50代の息子・娘世代が、仕事を辞めて親の介護に専念せざるを得なくなります(介護離職)。
4️⃣ 日本全体の労働力喪失と経済力の低下
一般企業から中核社員が介護離職で抜けることで、あらゆる産業で人手不足がさらに悪化し、国全体の経済力が大きく落ち込みます。
いかがでしょうか。「自分は介護の仕事をしていないから関係ない」「まだ親も元気だから大丈夫」と思っていても、いざ自分の親が倒れたり認知症になったりしたとき、あるいは数十年後に自分自身が介護を必要とする年齢になったとき、地域に頼れる施設やデイサービスがなくなっていれば、たちまち生活が立ち行かなくなります。
警察や消防、水道や電気、鉄道といったインフラと同じように、「介護職員は社会を守っていくために必要不可欠なインフラ(社会基盤)である」と国や社会全体が認識を改める必要があります。介護職員の賃金水準をしっかりと他産業並みに引き上げることは、単なる福祉予算の消費ではなく、現役世代の介護離職を防ぎ、日本の社会と経済の安定を守るための「最も重要な未来への投資」なのです。
❓ 7. 私たちが暮らす地域の介護を守り、安心できる未来をつくるにはどうすればよいのでしょうか?
💡 答え:国の制度改定による抜本的な賃上げを求めると同時に、地域に根差したデイサービスなどを賢く活用し、高齢者の「自立支援(重度化予防)」と「ご家族の負担軽減」を地域ぐるみで進めていくことが大切です。
これまで見てきたように、特別養護老人ホームなどの入所施設が人手不足で逼迫するなか、これからの超高齢社会においてますます重要性を増しているのが、住み慣れた自宅での生活を長く・元気に続けるための「通所介護(デイサービス)」の役割です。
高齢者がいきなり重い要介護状態になって24時間体制の入所施設を必要とする前に、日中にデイサービスへ通っていただき、適度な運動や体操、栄養バランスの取れた食事、安心できる入浴、そして他者との楽しい会話やレクリエーション(脳トレや健康麻雀、輪投げなど)を行うことは、心身の機能低下を防ぐ「重度化予防」に絶大な効果を発揮します。お年寄りが元気で自立した時間を長く保てれば、それだけご家族の介護負担も軽くなり、地域全体の介護インフラを守ることにもつながります。
私たちデイサービスサザンヒルズは、東京都渋谷区本町を拠点とし、隣接する中野区(南台・弥生町・本町など)や杉並区(方南・和泉など)といった周辺地域にお住まいの高齢者様とご家族様の暮らしを、温かいケアで支える地域密着型のデイサービスです。
介護業界全体が厳しい環境にあるからこそ、私たちは「働くスタッフ一人ひとりが誇りとゆとりを持って笑顔で働ける職場づくり」と「ご利用者様が毎日通いたくなる温かい居場所づくり」の両立に全力で取り組んでいます。
- ✅ 経験豊富なベテラン介護職と看護師の連携:
お一人おひとりの体調やペースに寄り添い、ご自宅での生活がより安全・快適になるようきめ細やかにサポートいたします。 - ✅ 渋谷区・中野区(南台ほか)・杉並区エリアへの安心送迎:
ご自宅の玄関先までスタッフが安全運転で送迎を行い、ご家族様の介護負担やレスパイト(休息時間)をしっかり確保します。 - ✅ 心と体がワクワクする多彩なプログラム:
機能訓練や口腔ケア、頭と指先を使うレクリエーション、地域の皆様が集うコミュニティ活動など、孤立を防ぎ生きがいを育む時間をご提供します。
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1. 介護現場では、わずかな昇給を社会保険料の負担増や物価高が追い越し、手取り収入が減少して生活に苦しむ職員が少なくありません。
2. 介護職員の給与は全産業平均より月額8万2,000円も低く、結婚や将来設計を機にベテラン職員が他業種へ流出する事態が相次いでいます。
3. 介護報酬は国が定める「公定価格(原則3年に1度改定)」であるため、事業所が独自に物価高騰分を価格転嫁して給料を上げることができない構造になっています。
4. 「やりがい搾取」に頼る限界を超え、介護職を社会に不可欠なインフラとして正当に評価・賃上げすることは、私たち自身の家族や老後の安心、そして日本経済を守るために不可欠です。
介護報酬の改定に向けた議論は、決して遠い霞が関の会議室だけの話ではありません。渋谷区や中野区、杉並区、そして南台をはじめとする私たちの身近な街で、お年寄りがいつまでも笑顔で暮らせるかどうかを決める大切な議論です。介護現場で働くスタッフへの理解と支援の輪が広がり、誰もが安心して歳を重ねられる社会が実現するよう、デイサービスサザンヒルズも地域の一員として日々誠実に歩み続けてまいります。